菅平高原　カフェ　ダイヤモンドダスト | 日記 | 幻

おそらく私が一番弱いコピー、それが幻です。
幻の金メダルとかホームランとかの使い方ではなく、幻の酒、幻の名車、簡単には手に入らないよ、お目にかかる事だって難しいよって方の幻です、今日は長いです。
よってこの辺で他に飛んで下さい。

今までで一番この言葉に嵌まったのが、開高健が言い出したらしい幻の魚イトウ、魚偏に鬼と書いてイトウ、漢字からしてスゲー魚の鬼、変換さえできない、釧路湿原で開高先生が幻を釣るっていうエッセイだった。釣りを全くしたことが無かった私の知識では、オオカミやカワウソと同じレベルの魚がイトウ、その程度の知識しか無かったが、開高節に踊らされたのか突然イトウを釣りたくなった。すぐさま北海道へ、今思うと馬鹿の一言。それまで釣りといえばザリガニ釣りしかしたことが無かったのに、沢山の釣り師が居るけど、ザリガニの次にイトウ釣りしたのは自分くらいじゃないか？ウェーダー等と言う釣り専門の物があるなんて知らなかったので、買ったのは漁師が履く太ももまである長靴のお化けみたいなやつ、竿は鯉釣り用の激安物、その格好で颯爽と川原に降りたのは、中標津市内のど真ん中を流れている標津川、朝から晩まで頑張るも当然ウンとも寸とも言わない。当たり前の坊主！そこから集められる情報をひたすら集めた。しかし1990年前半、世の中にはインターネットなるものは無かった。よってひたすら集めた情報は古くて役にたたなかった。よって次の年もイトウは釣れなかった。デッカイ鮭や鱒は簡単に釣れても、イトウは遂に釣れなかった。ウーンさすがは幻！更にのめり込む事に。かき集めた情報から季節、場所、釣り方、全てが間違っていた。
以来更なる幻の幻、1mを超すイトウを釣る為に年２回北の大地をささ迷ったが遂に拝む事は出来なかった。

大分前置きが長くなってしまったが、珈琲屋に転身してから幻釣りは封印。真面目に働いてます。ただ相変わらず幻に弱い。幻の珈琲、珈琲好きなら一生に一度は、そんなコピーの下一杯8000円で限定販売なんて代物が珈琲にはある。コピ、ルアク。
なんでもジャコウ猫の糞の中から採った生豆。
珈琲の実を食べるジャコウ猫が未消化のまま種だけを出すらしい。下手物好きでもある私もさすがに退いちゃう。
品種はロブスタだし不味いんじゃ？ないかと思いつつも、好奇心を擽る逸話が沢山。野生のジャコウ猫は完熟した実しか食べない、よって芳醇な香りが、、、完熟だからか？糞だからかは定かじゃないけどとにかく貴重。当然高価でありブルーマウンテンやコナをも凌ぐ超高級品。そして困った事に偽物混ぜ物が殆どとの噂も、何しろ産出地はインドネシアバリ島、行かれた人は解ると思いますが、何でもありなのに、あれは駄目みたいな、そんな国なので信頼性が今一つ。しかも産地名はキンタマーニっておいおい大丈夫かって名前ですが、聖なる山の麓に広がる有名な地にも関わらず、超絶高価ときて、思わず躊躇していたのですが、やはり飲んで、いや焙煎してみたい。　
と探していたら、ほんの僅かですが生豆が入りました。生豆らしくなく、幻らしくしっかりと化粧箱に入って来ました。
真贋のほどは解りません、何しろ飲んだ事がないのですから。
入手量の少なさと、超高額仕入れの為、店での提供は？？多分出来ません。年末にジックリ味わってみたいと思います。って今日は３０日、ヤッパリ幻は幻らしく今暫く眺めてます。